ホーム温暖化とエネルギーエネルギー消費とヒートアイランド

エネルギー消費とヒートアイランド

都会は暑くなっている

温暖化といえば、通常温暖化ガスによる、地球規模の温暖化のことだと、ほとんどの人が思っています。そして皆があまり身近なこととは考えてないのではないでしょうか?

でも最近いろんなことで、以前とは違ってきていると感じている人も多いでしょう。何よりも今年7月の西日本豪雨です。多くの人が犠牲になりました。心痛みます。でもこれは二酸化炭素が増加したから被害が大きくなったのでしょうか? 一部にそのような報道もありましたが、一般にはそのようには報道されませんでした。IPCCが言っている地球温暖化は0.6℃の気温の上昇です。あまり関係するとは、誰も思わないでしょう。

一方都会は間違いなくもっと熱くなっています。少し前の気象庁の発表では、東京は以前と比べて3℃ほど気温が高くなったそうです。

右の図は、国立天文台が毎年発行する理科年表(環境年表)からコピーした図です。気象庁の記録に残る夏日の数と熱帯夜の数の、1930年から2015年までの推移です。夏日は最高気温が30℃を超える日のこと、熱帯夜は最低気温が25℃を超える日のことを言います。最高気温ではあまり顕著ではない温度上昇が、最低気温で見れば、明らかに変化しているといえます。

都会が熱くなっている現象をヒートアイランドといいます。温暖化ではありますが、温暖化ガスの増加に伴った増加ではなく。都会の現象です。ヒートアイランドの解説は、ヒートアイランドと検索すれば見つかりますが、気象庁のものより、国交省の解説のほうが、簡潔で分かりやすいでしょう。

エネルギーはすべて熱になる。

ヒートアイランドの原因として、気象学者が忘れていることがあります。それはエネルギー消費についてです。人は様々なところで、様々な形でエネルギーを消費していますが、エネルギーの性質から、それはすべて熱エネルギーに変わるのです。例えば東京には高層ビルが立ち並んでいますが、高層ビルは莫大な電気エネルギーを消費します。投入した電気エネルギーと同じ量だけ、熱エネルギーが発生するのです。これは物理学をちゃんと勉強した人にとって当たり前のことですが、残念ながら現代日本では、理系の大学でも物理学は苦手だという人が多くいて、エネルギー保存則を言葉では知っていても、意味をよく理解しないままの人が多くいることは、多くの人との会話から経験しました。でもその意味を理解するのは簡単なのですがね。

ヒートアイランドの主原因

国交省の説明にある通り、ヒートアイランドの原因はいくつも挙げられます。しかし私はヒートアイランドが問題視され始めた初期はともかく、現在の主原因は人類の活動で使うエネルギーであると考えています。
エネルギーは最終的には熱エネルギーになります。別のページで紹介したように、人は100ワットの割合で生命体としてエネルギーを消費し、したがって100Wの発熱体なのですが、現代日本人は化石燃料時代の人として、化石燃料起源のエネルギーを、一人当たりその数十倍消費しています。言い換えれば現代日本人は、一人当たり数キロワットの発熱体といえるのです。一人当たり家庭用電気ストーブを数台どこかで使っている勘定です。
例えば今東京に林立している高層ビルは、季節によりますが、一棟で数千キロワットの電力を消費します。言い換えればビル一棟で数千キロワットの発熱体なのです。冬家庭で使う電気ヒーターは一台せいぜい一キロワットですから、ビルの各フロアに百台程度の電気ヒーターが取り付けられていると同等の熱を発しているのです。
大都市はこのように集中した発熱体になっています。ヒートアイランドは、間違いなくこのメカニズムだけで出現するでしょう。また近年になって問題となったゲリラ豪雨も、発生する可能性は素人考えでもわかります。都市部が熱くなって上昇気流が起こります。普段は太陽からのエネルギーの流れ(これが気象を生みます)が強いので、問題はないのですが、気象の乱れが生じたとき、この上昇気流は乱れをさらに大きくする可能性があります。上昇気流は積乱雲を生むことは気象の常識です。それが集中的な豪雨となります。
気象台の説明には、豪雨がヒートアイランドによってもたらされたということは、まだ統計的に結論が出ていないように書いてあります。気象のむつかしさはここにあります。データがないから証明できない。専門家はそういうでしょう。でもゲリラ豪雨は50年前にはなかったことを、私を含めた老人グループは、庶民感覚で知っています。専門家がこれは確かだといった時には、時すでに遅し、の可能性があるのです。
もちろんむやみに仮説だけで不安をあおるのはいけません。しかしエネルギーの性質は確固たる法則です。問題はこのエネルギーの法則を気象の考察に、まだ誰も取り入れていないように見えることです。電力やガス、それにガソリンなどのエネルギー消費の実態を調べるといいのです。それはすべて熱エネルギーになるのですから。エネルギー気象学、あるいは熱気象学といった分野が生まれることを期待します。

海のヒートアイランド

ヒートアイランドは、都市近郊の気温が上昇する現象です。そしてこれは温暖化ガスによる地球温暖化とは別物であることは、気象庁の説明にもはっきりと書いてあることです。
日本近海の海水温が上昇しています。これは国立天文台が毎年発行している理科年表の環境編に、少し前から記述されていることです。日本を中心として、海水温が上昇している。いわば海のヒートアイランド現象です。これも温室効果ガスの増加によるものとは、全く別物と考えなければいけません。何しろ平均気温の上昇(0.6℃とIPCCは言っている)を、水温でありながら上回っているのです。
右に理科年表からの図を置いています。ほとんどの海で1℃以上、2℃近く上昇している海もあります。
海のヒートアイランドを生むメカニズムは何でしょうか? 私はやはりエネルギーで考えるとよくわかると思っています。
人間活動で生じる化石燃料や核燃料からのエネルギーの一部は海へと捨てられます。特に大きいのは原発を含む火力発電からの排熱です。現在の平均でみると、日本の火力発電の発電効率は40%です。これが何を意味するかというと、火を燃して発生した熱エネルギーの40%だけが電気に変わっています。残り60%は捨てるしかありません。大型の発電所の場合、空気ではうまく吸収してくれませんから、海に捨てているのです。原発はさらに発電効率が悪く平均33%ですから、電力の二倍の熱が海に捨てられます。ちなみに日本の原発がすべて海沿いにあるのはこの理由からです。熱の捨て場が必要なのです。
アバウトに言えば、日本人は一人およそ1000ワットの割合で電気を使っています。日本では火力発電が主で、自然エネルギーによる発電は、さほど大きな割合を占めていませんから、大まかに考えると、約1000ワットあるいは1kWの割合で、熱を海に捨てています。日本列島に並んで一億二千七百万基の、家庭用電気ストーブが、海に向かって置かれていると同じ計算です。開かれた海だと、世界に向けてこの熱を拡散するでしょうが、閉じた海なら温度上昇は大きくなるでしょう。
改めて図を見てください。海水温上昇は日本海側で高く、太平洋側で比較的低い。太平洋側で低くなるのは、黒潮の流れが激しいためでしょう。黒潮のおかげで熱は太平洋に拡散していきます。一方日本海は比較的閉じた海です。そして日本の原発の多くが日本海側にあります。また中国は今や世界一のエネルギー消費国です。電力の割合は日本より少ないとは言え、(ちなみにエネルギー消費で電力の割合が一番高いのが日本です)その電力たるや相当のものがあり、火力発電所は沿海に、そして黄河と長江沿いに、展開しているでしょう。黄河と長江に流された熱も、日本海に注ぎ込みます。
もっと閉じた海があります。瀬戸内海です。これについては、別のページでご覧ください

五山の送り火と豪雨

毎年8月16日に京都で行われる昔からの慣習があります。五山の送り火です。

不思議なことに近年この日の京都は豪雨に見舞われることが多いのです。気象の基本は確率の問題ですから、なかなか確定したことが言えないのですが、ここ十年ほどは2-3年に一度、豪雨に見舞われているような気がします。もう十年ほど前になりますか、一度は中止に追い込まれました。また二年ほど前、中止にはならなかったものの、東山の大文字が途中で雨のため消えそうになり、それが全国に放映されたりしました。

気象庁によるとヒートアイランドとゲリラ豪雨は関係あるかどうか統計の資料が少ないので何とも言えないことになるでしょう。しかし今後百年ほど待って、結論が出るのでしょうが、これから百年の間、ニー三年おきに送り火が豪雨に見舞われるとすれば、百年後には今生きている人も送られる側に立っているでしょうし、余りいい心地はしないでしょう。

そこでズバリ言いましょう。私は送り火の日には京都のヒートアイランドは悪化すると考えています。その主たる原因は観光の人が自動車で来ることです。エネルギー消費はすべて熱になる。このことを思い出してください。自動車は一台で数万ワットの発熱体になるのです。

多量の消費エネルギーは気象庁も認める通りヒートアイランドを加速します。そして統計データが少ないのではっきりと結論は出ないのですが、ヒートアイランドと豪雨は関連します。その結果が五山の送り火にであう豪雨と考えて、マイカーでの観光を自重するよう求めるのがいいのではないでしょうか?

ついでながら祇園祭の日も豪雨に見舞われることが多いのですが、今年はからりと晴れていました。祇園祭の日は梅雨明けとほぼ同じ時期です。梅雨明けのヒートアイランドは、豪雨を誘発しやすい、それが祇園祭であり、また今回の西日本豪雨での、瀬戸内地方の大水害を招いたと考えられないでしょうか?