人は100ワット

人のエネルギーは?

人のエネルギーは人により年齢により多様ですが、でもアバウトには一日二千キロカロリーです。この値を大きく外れることはありません。せいぜい1.5倍程度、あるいはこの70%程度です。その値の違いは人の個性です。個性の違いは重要ですが、平均値から何倍もの違いを生むのではない、この認識も一方では必要です。一日一万キロカロリーで生きている人はいません。一日2000キロカロリー程度。このエネルギーはよく知られているように食事から得られます。

このエネルギーは様々なエネルギーに代わります。筋肉は様々な動きにエネルギーを必要とします。食事から得られたエネルギーは、例えば手の運動のエネルギーに変換されます。また頭の回転にもエネルギーが必要です。単に生命体を維持するにもエネルギーが必要です。あなたが歩くにも、走るにも、歌うにも、踊るにも、考えるにも、働くにも、すべてエネルギーが必要ですが、そのエネルギーの量は、一日約2000キロカロリーの食事からくるのです。人の体は食事のエネルギーを、様々なエネルギーに変換させて、人という生命体を維持しています。

エネルギーに関連して大切な概念にパワーがあります。パワーの単位がワットです。これは一秒当たり何ジュールのエネルギーが変換されるかを示したものです。ジュールはエネルギーの基本単位で、一カロリーは4.2ジュールとなっています。つまり2000キロカロリーは8400キロジュールとなるわけです。一日8400キロジュールは、一秒当たり97.22ジュールとなることを電卓を使って確かめてみましょう。つまり人の平均パワーは約100ワットとなっています。

この値を基準として記憶しておけば、様々なエネルギー消費の大きさを身近にそしてアバウトに感じ取ることができるでしょう。

人のエネルギーの元をたどれば?

人のエネルギーの元をたどれば、太陽のエネルギーに行きつきます。またほとんどの自然エネルギーの元をたどれば、太陽のエネルギーにたどり着くのです。太陽のエネルギーは地球上の森羅万象のエネルギーに変わっているのです。

人のエネルギーの元をたどれば、太陽エネルギーにたどり着くことは、次のようにしてわかります。人の食事は肉や魚などの動物と、野菜や果物の植物に分かれます。植物は光合成をして太陽エネルギーを取り込みます。光合成は二酸化炭素と水から糖質を作り出すと生物の時間に習ったでしょう。そのとき太陽光が必要でした。作られた糖質は太陽エネルギーを蓄えているのです。人は植物を食べ、蓄えた太陽エネルギーを体内に取り入れるのです。

また同様に動物も餌となる植物を食べ、エネルギーを取り込みます。人はさらに動物も食べ動物が餌から確保して蓄えたエネルギーを取り込みます。食物連鎖で太陽エネルギーが受け渡されているのです。

満員電車は冬でも暑い

満員電車は冬でも暑くなり、エアコンが欠かせません。何故でしょう。それは人が一人当たり100ワットのヒーターになっているからです。人は一日2000キロカロリーの食事のエネルギーを、様々なエネルギーに変換して生きています。その平均パワーは100ワットです。そしてエネルギーの最終形態は熱ですから、人は平均して100ワットのヒーターになっているのです。満員電車に一両当たり200人の人が乗っているとしましょう。そうすれば全体で二万ワットのヒーターと同じになります。通常家庭用のヒーターは調べればすぐわかりますが千ワット程度です。つまり通常のヒーターが20台入っていることになります。暑くなるわけです。

エネルギーを考えるとき、最後にエネルギーは熱になることを理解することは、シンプルですがとても重要なことになります。都会では集中して莫大なエネルギーを消費します。この莫大なエネルギーは、すべて都会が発生する熱になります。ヒートアイランドやゲリラ豪雨の原因となりうるのです。

人は何故汗をかく?

この問いは古くから問われていました。アリストテレスがすでに問いかけて、何か答えを出していることを、私は学生時代立ち読みをして、へぇ哲学者って面白い問いかけをするのだなって、感心したことがあります。アリストテレスは2000年以上前の人ですから、太古の問いの一つだったのです。

答えは一人100ワットのヒーターから出てきます。人は約36度の体温を持ちます。この体温を保たなければ、人は正常に生活ができなくなります。一方外気温は氷点下になったり、真夏日になったり大きく変動します。

熱エネルギーは温度が高いところから低いところに流れて行きます。温度差が大きいほど流れは大きくなります。この熱エネルギーの流れの大きさもパワーで測ります。一秒当たり流れるエネルギーの大きさです。人は100ワットのヒーターですから、これで体温を保つと同時に、外部へ常に100ワットの熱エネルギーを流してあげなければいけません。そうしないと熱エネルギーが溜まり、体温が上昇することになります。

外気温が低いときは自然に熱エネルギーの流れができます。人体という高温部から、外気という低温部へと、熱エネルギーが流れます。裸のままでは通常流れの大きさは100ワットを超えます。そこで人は衣服を着て、熱エネルギーの流れを遮断します。夏は薄着に、冬は厚着に。それは熱エネルギーの流れを調節する人の知恵なのです。そしてその上におしゃれという文化が誕生します。

真夏日。気温は38度など恐ろしく高くなります。38度と言えば体温より高いでしょう。外気温が体温より高いとどうなるでしょう? 熱エネルギーは高温から低温へと流れます。そのままでは人体に外気から熱エネルギーが流れます。人の体温は上昇し、人は生存すらできなくなります。

そこで人は汗を出すのです。汗はほとんどが水分です。水は蒸発するとき、莫大な量の気化熱を持っていきます。わずかな水の蒸発でも、100ワットの熱エネルギーの流れが可能となります。外部の温度が十分低くなく、体から外部に自然な熱エネルギーの流れで100ワットの流れを作り出せないとき、人は汗をかいて、熱エネルギーを体外に流します。外気温が高いとき、また激しく運動して体内の熱エネルギーの発生が大きいとき、人は汗をかいて水を蒸発させ、体内の熱エネルギーを外部に放出させ、体内の温度を適正に保っているのです。これが汗をかく理由です。アリストテレスは、ここまで理解はできていませんでした。

また気温が高いとき、熱中症を防ぐため、水分をとる必要性もここから理解できます。汗をかくと体内の水分が減少します。その水分を補給してあげなければいけないのです。

このような熱の流れを理解することは、自然エネルギー社会構築の大切な基盤になります。現代の建築物の思想は、いくらエネルギーを使ってもいいから、外部と遮断して快適な気温状態を作り出すことにあります。人が快適に活動できる二十数度を季節にかかわりなく保つ。それが現代のエアコンの発想です。人という自然の中の存在は、そんな馬鹿なことをしていません。熱エネルギーの流れを上手にコントロールする。そのような発想が、自然エネルギー社会には必要となります。