世界のLRT

カールスルーエのLRT

ドイツ中南部のカールスルーエは、ドイツの自動車王カール・ベンツが生まれた町です。人口は約30万人。カール・ベンツは実際自動車の発明者の一人であり、メルセデス・ベンツ社の創始者です。自動車を構成する様々な仕組みを考案し、特許を多くとりました。カールスルーエはベンツの伝統を守り、新時代の交通をリードしています。新時代の交通それがLRTです。

LRTは郊外では速く、街中ではゆっくりと走ります。街中のトランジットモールと呼ばれるところでは、道を通ることができるのは歩行者と自転車そしてゆっくりと走る路面電車だけ。電車は頻繁に来ますが、自動車ほど目まぐるしくなく、人々は安心して路上生活を楽しめます。写真でその様子を感じてください。二枚目の写真では電車が近づいているのに、人々は平気で道を横切っています。

写真をクリックすると拡大写真が見れます。

カールスルーエのLRTとトランジットモール

トランジットモールでは人と電車が共存

ストラスブールのLRT

ストラスブールはアルサス‐ロレーヌ地方の中心、戦乱のたびにフランス領‐ドイツ領と変遷の悲劇の舞台となった街です。現在の人口は約27万人。その昔をたどれば、中世に一時今のフランス‐ドイツを中心に勢力を拡大し、古代ローマ帝国を再現する勢いを持った皇帝シャルル・マーニュ、ドイツ語でカルル大帝の死後、その統一した帝国が東西に分かれた地の緩衝帯となった地方です。その後東は神聖ローマ帝国へ、西はフランスへと変わっていき、西洋近代を迎えます。

そのような歴史を持つアルサス・ロレーヌ地方の中心地に、世界でも注目される新しい交通網が導入されました。ストラスブールLRTです。歴史を誇る街の新しい伝統となる交通機関それがLRTなのです。

エレガントな車両はカーブが多い街にとてもよく似合い、直進からカーブへ形を変える車両の美しさは訪れる人の心を強く打ちます。このホームページの表紙の映像は、合成写真なのですが、素材の一つはストラスブールLRTだとお判りでしょう。今一つもこのホームページ内に出てきます。探してみてください。

新旧の調和1

新旧の調和2

流れにLRTは似合う

LRTには自転車も乗れる

ケルンのLRT

ケルンはドイツ第四の都市。人口100万人を超える大都会です。でも路面電車が廃止されたことはなく、LRTへと移行しています。

ケルンは古代ローマ帝国から続いた歴史ある都市です。所々にローマ時代の遺跡が残り、教会も多く、駅前には有名な大聖堂がそびえ立っています。ローマ時代ライン川向こう岸のゲルマンと対峙するために建設されたコロニーつまり植民地という意味をケルンという町の名が示しています。歴史ある町なので、京都と姉妹都市になっていて、街の中にキオトシュトラッセ(京都通り)という名前の道もあるくらいです。ただその道に行っても京都を連想させるものは見当たらないのですが。

大聖堂の真横の鉄道駅から歩行者天国の繁華街が続き、それをたどっていけば、市の交通の要衝であるノイマルクトに続いています。新市場という意味の名前で、以前はノミの市が盛大に開かれていました。この写真を撮ったときには、ノミの市はなく、広い公園になっているだけでしたが。

写真1はライン川に架かる橋の上を走行するLRTです。写真2はノイマルクトで電車に乗り降りしようとする人々。高齢者、身障者も同じように電車に乗る様がわかるでしょう。写真3はノイマルクトですが、道に地下鉄の入り口があり、乗り換え口の様子がわかります。写真4は車窓からの風景で、ウニメンザとありますが、ケルン大学の学生食堂です。土曜日も開いてますよと書いてあります。

ライン川を渡るLRT

乗り降りする人々

ノイマルクト風景

ケルン大学学生食堂

フライブルクのLRT

フライブルクは環境先進都市として有名な都市です。大きな本屋さんに行けば、必ずと言っていいほど、フライブルクを紹介した本が見つかります。環境先進都市ですから、もちろんLRTは完備しています。人口は約23万人、カールスルーエと同じバーデン・ヴュルテンベルク州にあります。州の南西部に位置し、ドイツでもかなり南のほうに位置しています。大学の街でもあります。

写真1は公園を走るフライブルクLRTです。木々の中に芝生を敷いた道があり、その上を真っ赤な路面電車が走る。何ともエコな、さすが環境先進都市を象徴するような図になっていると思います。このようにLRTの路線には芝生を植えることができるのです。京都で苔の上を走るLRTなんてできたら素晴らしいでしょうがね。苔と石で敷き詰められた路線をLRTが走るなんて。できたらいいな。

写真2はフライブルクの中心街です。フライブルクはトランジットモールが多く、人と電車が共存する部分が多い街です。この写真で見ても、その一端はお判りでしょう。写真3はトランジットモールを車窓から見た図ですが、自転車がとても多いことがわかります。この町の自転車の多さは車窓から見ても一目瞭然で、中心街には自転車で行く人が多いのですね。人と電車と自転車が共存する中心街。自然エネルギー未来都市のモデルであると思います。確かに環境先進都市。自然エネルギー社会で残るのはこのような都市でしょう。

それでは郊外の人はどうするのでしょうか? 自転車で中心街に行けませんよね。もちろん自転車ですべて済むなら電車もいらないわけです。写真4がその答えです。写真中央少し左にP+Rとあるでしょう。パーク&ライド。自動車でこの郊外駅まで来て、そこで電車に乗り換えます。また同時にバスターミナルもあって、公共交通機関のバスと電車を乗り継いで、街中まで行ける、そのような交通網の整備が未来社会に向けて求められているのです。

緑に映えるLRT

フライブルクのトランジットモール

LRTの車窓から

パークランドライド

チューリッヒのLRT

チューリッヒは世界の金融中心の一つ。チューリッヒ湖のほとり、それに注ぐリマト川を中心とした美しい街です。人口は約38万人。ここでもLRTが活躍しています。

写真1では電車のかなりすれすれに男女二人が歩いています。電車は二人を後ろからゆっくりと追い越すように走行しているのですが、二人は全く気にもしません。自動車だとこうはいかないでしょう。二人とも振り返って立ち止まり、自動車をよけるか何か、動作をしているはずです。実はこの直前に女性が振り返り、ビデオカメラを構えている私に手を振ってくれたのですが、その場面を切り取るのは少しためらわれたので、この場面にしました。要は電車を気にすることなく、観光客に挨拶する余裕を、電車がすぐ横を通っても持てることなのです。人と電車の共存です。


写真2はリマト川に沿って走行するLRTです。その向こうはチューリッヒの旧市街となっています。ホテルが立ち並び、夜になるとホテルの一階のレストランで楽しむ人々がたむろする場所です。音楽ライブ付きの店も多いのですよ。写真3はリマト川を渡るLRT。写真4はチューリッヒ湖に停泊するヨットの群れの向こうに見えるLRTです。

道を歩く人をゆっくりとLRTが追い抜いていきます。

川のほとりの旧市街を走るLRT

橋の上をすれ違うLRT

ヨットハーバーの向こうに見えるLRT

マンハイム

カールスルーエ、フライブルクと同じバーデン‐ヴュルテンベルク州のマンハイムです。人口31万人。ここも大学の街でもあります。バーデン‐ヴュルテンベルク州は、自動車の街州都のシュトゥットガルト以外にも多くの個性あふれる都市があり、ドイツの魅力あふれる地域として、観光客を楽しませてくれます。物理学者として私はケプラーを非常に尊敬していますが、ケプラーやヘルマン・ヘッセはこの地方の出身なのです。合理的精神が旺盛なのですが、熱き心を持った人たち。強靭な精神とだけど繊細な神経を持つ独特の気質をはぐくむ。そのような地域なのです。

写真1はマンハイム駅前のLRT乗り場です。LRTの右上に屋根が見えますが、これが駅の屋根です。写真2はマンハイムのシュロス(城)の前のLRTです。城にはLRTがよく似合う。日本の城にもLRTがよく似合うと思うのですが。マンハイムは一時プファルツ選帝侯の居住地でした。え、選帝侯って何? これを知らないとドイツの深みがわからないのですが、長くなるのでやめます。えねるぎぃっ亭で主題にすることがあるかも。数多い日本の城下町にも参考になる話ですよ。


写真3はLRTと共存する高齢者の方の写真です。これから高齢者社会を迎える日本に大いに参考になる図とは思いませんか? 写真4は車窓から見たトランジットモールです。車窓からウィンドウショッピングができるという私の主張を読み取ってもらえれば幸いです。

マンハイム駅前

城にはLRTが似合う

高齢者に優しいLRT

車窓から

ハイデルベルク

上に見たマンハイムはライン川とネッカー川の合流地点にある街です。平地が多いドイツは川が昔からの交通の大動脈で、したがって川の合流地点は古くからの街が存在しているのです。

ヨーロッパ有数の河川‐ライン川のほとりの街はもちろんドイツに多く、スイス・オランダにもありますが、ネッカー川のほとりで一番有名な街としてハイデルベルクがあります。

ハイデルベルクはプファルツ選帝侯のもともとの居城としての街であり、丘の上のハイデルベルク城はハイデルベルク観光の中心でもあります。またハイデルベルクは14世紀から続く古い大学街で、面白いことに街の中心部に学生牢などが残っています。中世の大学は強い自治権を与えられ、したがって司法権も持っていました。そこで治安を乱す学生を牢に入れる権限を有していたのです。でも牢に入る罪人も誇り高く、自分の家の家紋を入牢生活中に残したりしています。その家紋を残した牢が面白く、独自の観光資源となっているのです。


写真1は観光都市ハイデルベルクを実感させる図ですが、駅を降りてすぐのツーリストインフォーメーションです。そしてそのすぐ後に続くLRT乗り場が写真2にあります。


写真3は旧市街中心部に続く歩行者天国の道です。観光客だけではなく、市民が中心でこの道を活用していなければ、このような賑わいはないでしょう。ハイデルベルクLRTは観光のわき役に転じ、市民生活を支えています。


写真4はネッカー川にかかるアルテブリュッケ。古い橋という意味で、観光スポットの一つになっています。この橋を渡って向こう岸の小高い場所に、川に沿って続く散歩道は、哲学の道と呼ばれています。

ハイデルベルク駅前の観光案内所

駅前のLRT乗り場

旧市街の道

アルテブリュッケ

ノッティンガム

イギリスがEUを離脱すると決めました。でもイギリスもLRTが近年導入されています。その例のノッティンガムをご紹介しましょう。

ノッティンガムは古くはロビンフッドの舞台として知られています。ロビンフッドが活躍したシャーウッドの森はノッティンガムの近くなのです。人口は30万人弱。LRTは今から10年ほど前に導入されました。写真は導入されて比較的すぐの映像から切り抜いたものです。

最初の写真は停車場に到着しようとするLRTです。次の写真は自動車とLRT。真ん中にある標識でLRT専用道路と自動車道が棲み分けられているのがわかります。

坂があると電車はどうなのとよく聞かれますが、ある程度の坂だと問題ないことが次の写真でわかります。店舗を見てください。道路と店の水平線が明らかに大きな角度を作っていることがわかるでしょう。

最後の写真はLRTの中からの映像ですが、発車前のドアが閉まろうとしている映像です。パークアンドライドが、いかに便利に作られているかをご覧ください。自動車から降りたら段差なしでLRTの停車場に続き、段差なしでLRTに乗れちゃうのです。身障者のための駐車場が確保されているのがわかります。

>> カールスルーエLRTの車窓からへ

ノッティンガムLRT

電車専用道路との標識

坂でも鉄道が

パークアンドライド