世界情勢

欧米の現状と規制緩和の影響(5/16)

緊急事態宣言が39県について解かれ、大阪モデルの達成で、関西も要請が緩められ始めました。人々の反応は複雑でしょう。皆我慢していますが、最早我慢の限界に達した人は、さあうれしいと再開に取り組んだり、一方では緩めるとまた状態悪化を招くのではないか、そう心配する人も多いと思います。いやむしろ、多くの人がこの二つの気持ちの間で、それぞれの立場を持ちながら、思い悩んでいるのではないかと思います。

そこでロックダウンを日本の緊急事態宣言より3週間ほど早く行ったアメリカ、ドイツ、オーストリアを参考のために見てみましょう。

まず安倍さんの盟友、感染対策を万全に行ったと言ったり、経済再開を急ぎたがるトランプさんのアメリカです。右の一番上の図で見て下さい。クリックで拡大します。アメリカでは、日々の感染者数が確実に減っているとは言いがたい状態であると解るでしょう。それでも見ようによってはピーク時の半分くらいになっているでしょうか?ただ毎日2万から3万人の新らしい感染者が出ています。アメリカにいる人は、本当に大変です。

次にドイツです。明らかに減少しています。一時は一万人を越した新しい感染者は、今は2千人以下になっています。ドイツの人口は、およそ8千万人です。次はオーストリア。こちらもきれいに減少カーブを描いています。一時は一日に千人ほど感染者が出ましたが、今はほとんどの日で100人以下になってます。オーストリアの人口は約800万人。ところが人口一億3千万弱の日本と、ほとんど同じ感染者数で推移しています。厚労省のデータでは、昨日の日本での感染者は99人でした。同じく厚労省のデータで、一日の感染者の最高値は、4月12日の712人でした。日本は欧米に比べて、対人口比で見た感染者数は、一桁あるいはそれ以上少ないのです。それに伴って死亡者も少なくなっています。日本の奇跡とも呼ばれ始めたようです。

その違いを説明するのが、週増加比の動向です。四番目の図をご覧下さい。3月16日にメルケル首相がほとんどの店舗閉鎖と、国境管理を宣言する前、ドイツやオーストリアでは週増加比が5程度で高下していました。つまり一週間で5倍にもなるスピードで感染者が増加するようになった。アメリカではこれが10程度でした。ロックダウン10日後の26日ころから効果が現れ始め、週増加比が減少に転じます。そして1を切ってピーク越えをしたと明らかに解るのが、それより約一週間後です。そのころ日本では感染は拡大しており、週増加比は2から3程度でした。つまり一週間で感染者は2~3倍に増えるわけです。

この5なのか2~3なのかが、感染者数に桁違いな差を生み出します。日本は元々感染が広がりにくいという結果が、この数値から出てきます。そして比較的容易にピーク越えをすることが出来たのにも、元々それが背景にあるのではないでしょうか。

日本に先行すること約ひと月、ドイツとオーストリアでは二段階に規制が緩められました。ドイツでは4月15日に中小の店舗の規制が解かれ、2週間後に週増加比が1に近くなってやばいかなと思ったが、その後週増加比が小さくなったと共に、5月5日大規模な店舗も含め規制が解かれました。オーストリアもほぼ同時だったと思います。第二弾の規制緩和の結果が今見え始め、特にオーストリアでは比が1を越え、1.5~2を前後しています。それがすぐ上の棒グラフにもよく見えて、明らかにここ数日は値が下がっているとは言えない状況が続きます。またドイツでも週増加比は一日だけ超えました。ただここでも週増加比の値を見ると、規制前の3月半ばに比べて圧倒的に小さい値で、感染爆発が起きているとは言えません。また今晩発表された値を追加すれば、ドイツもオーストリアも、ひどくはならず改善されつつあるようです。

このように日本も緊急事態宣言がまだ解かれない地方でも、段階的に規制が緩和され、効果を調べながら慎重に規制が解除されていくでしょう。関西圏ではそれが始まりました。後10日後の25日頃には、その効果が見えてきて、次に進むことが出来るか、様子が分るでしょう。日本ではこれまでも欧米並みの感染爆発は起きませんでした。オーストリアの例を見ても、週増加比は規制以前と比べて小さいわけですから、日本でも十分注意すれば、感染爆発は起こるとは考えにくいと思います。

ヨーロッパの成功例(4/19)

ヨーロッパでは、日本に先行して感染拡大が進行しました。都市封鎖などの手段が執られました。そして現在出口が見えてきている国もあります。

その代表例がすでに別のページでご紹介したオーストリアです。オーストリアの現状を見てみましょう。

右の第一図がオーストリアの日々の感染者増加を表します。青線は生データでそのままその日の感染者増を表し、赤線は三日の平均値を取ったものです。増加から3月末のピークを経て、減少に転じましたが、波はあるものの、減少が続いています。我々もこれをモデルとして、目指したいものです。

二番目の図は週増加比で、これが1より大きければ前の週より増加、小さければ前の週と比べて減少となります。この値が5ならば一週間で五倍に、0.5ならば一週間で半分になっているわけです。日本では昨日18日に、非常事態宣言時から続いた1より大きい値が、1より小さくなりました。このまま0.5程度まで小さくなって、その値が2~3週間持続すれば、オーストリアの例に習うことになります。

ドイツの感染者数はオーストリアの10倍になりますが、もともと人口も同じくらいの比率となります。第三図はドイツの例です。オーストリアほど顕著ではないですが、波打ちながら減少してきています。この波は実は曜日に拠ります。日本でも週末金土と大きな値になる傾向があり、月曜日には生データでは減少する傾向があります。これは感染自体は、つまりウィルスは曜日を選びませんが、検査をする人は週末は休む人が多い。ヨーロッパのデータの波打ちの顕著さは、ヨーロッパの人達の週末はきっちり休むという、「人」の事情を顕著に表します。ウィルスと戦っているのは、生身の人であるという事情がよく分るデータではないでしょうか? 週の終わりにフライデーオベーションを、週末にその週に頑張ってくれた医療関係者すべてに、感謝の拍手を、というのは、医療関係者を励ます、極めて人間的な行為ではないでしょうか? ありがとう、医療の人達。

第四図はフランスの例です。ドイツもフランスも似たような傾向に見えますが、実は明暗を分けているのです。それはまた別のページで詳細に考えて見ます。独仏のこの先の動向が注目されます。

アメリカとイギリス(4/20)

週増加比が1を切った今が一番大切な時期であることは、アメリカとイギリスの例を見たら解ります。

この段の右上一番目の図が、アメリカの日々の感染者増を、二番目がイギリスのそれを表します。波打つだけで減少していないことが解ります。州毎にとればまた違った結果も出るのでしょうが、残念ながらデータを持っていません。

イギリスに至っては、波打ちながらまだ増加をしているように見えます。減少か増加かは、紙一重でもあるのです。だらだらと事態が続くことを避けるためには、今が大切です。きちんと押さえるために、週増加比を0.5まで押さえ、それを続けましょう。


オーストリアの週増加比は、上の段にありますが、米独仏英のものは三番目の図に示します。

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