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交通のエネルギー

鉄道が未来を拓く

鉄道が自然エネルギー未来社会を拓きます。こういえば鉄道ってむしろ過去の乗り物じゃないかと思う人が多いでしょう。

未来を拓くのは、自然エネルギーだ。自然エネルギー発電が未来を拓くのだ。そう思われている人も多いのではないかと思います。ところが現代社会は化石燃料があることを仮定して出来上がっています。自然エネルギーでは、どう考えたって、現代社会を支えることができないことを、原発事故以来様々なデータをみて、また簡単な物理学上の計算をして、いやというほどわかってきました。

時代の主たるエネルギーによって、交通手段が大きく異なることは、歴史を振り返ると、誰にでもわかることです。産業革命で最初に使われたのは石炭ですが、石炭時代の交通手段は蒸気機関車です。さらに進んだ産業革命では、石油と大量の化石燃料を使った電気の時代になりました。今も主たるエネルギーは、石油と大規模火力発電所からの電気です。この時代、交通は自動車、飛行機、そして蒸気機関車は電気機関車になりました。そして機関車を使わない電車も登場しました。

鉄道では、しっかりと計算された走り方をすれば、消費エネルギーは、驚くほど抑えられます。

交通は非常にエネルギー消費が大きく、また省エネ効果も大きい。

省エネを考える人や組織は、今や非常に多くなりました。いや人についてはわかりませんが、省エネを言わない組織は皆無と言えるでしょう。

しかし効果的な省エネを考え、実行している組織は、逆に非常に少ないといえます。宣伝するためだけの省エネで、実はほとんど省エネになっていないことが多いのです。

効果的な省エネを実行するには、どこでエネルギーを多く使っているか、またどれだけそこで省エネができるかを考えなくてはなりません。実は交通に関するエネルギーは非常に大きく、また大幅に省エネができるのも、交通に関してなのです。

交通に関するエネルギーが、非常に大きいことは、最終エネルギー消費のページでご覧ください。

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電気の消費は運輸部門のわずか2%である

上の段のリンクで見ればわかるように、日本の最終エネルギーで、工場に続いて多いのは運輸部門で、家庭や第三次産業以上のエネルギー消費になっています。しかしそのほとんどは、石油製品によっており、電気はわずかに2%にすぎません。

詳しいデータとその解説はこちら。

2%の電気は鉄道で使われています。日本では新幹線が随分と走り、また都市圏では通勤電車が、これもまたずいぶん走っています。今は自動車社会ですから、交通に使うエネルギーは上段で見たように大きいのですが、鉄道主体に交通手段を変えていけば、随分とエネルギー消費を抑えることができるだろうと想像することができます。でもいくつか注意すべきことがあります。鉄道のエネルギー消費をもう少し詳しく見ていきましょう。

鉄道では燃費の概念がありません

自動車は燃費という概念があります。リッターあたり何キロ走るかが燃費の意味になります。近年の自動車は燃費が随分改善されました。そのように思われています。

しかし実走行燃費は、リッターあたり10kmくらいなのです。自動車を運転される方は、一度ガソリンを補給する量と、走行距離から割り出せますから、試してみてはいかがでしょう。

鉄道は燃費という概念がない分、原理的にエネルギー消費が少なくなり得ることを示します。鉄道の上を走るので、運動に対する抵抗が極度に抑えられ、それがエネルギーの無駄な消費を抑えるのです。このことは鉄道貨物によく現れています。

鉄道貨物の記事はこちら

運動に対する抵抗は、乗り物のスピードを遅めます。それを補給するためにエネルギーを供給し続けなくてはなりません。このエネルギーは走行距離に比例するわけです。したがって燃費という考えを使います。

乗り物には走行距離に比例するエネルギーの他に大切なエネルギーが必要です。止まっている乗り物を、走行させたい速さまで加速するためのエネルギーです。そのエネルギーを乗り物はガソリンや電気からもらって、運動エネルギーに変えるのです。運動エネルギーは速さの二乗に比例することは、初等物理学の大切な結論です。速さが二倍、三倍になると、運動エネルギーは四倍、九倍と大きくなっていきます。自動車では、抵抗が大きいため、運動エネルギーの効果は比較的小さく、強烈には出てこないのです。それでもいうでしょう。信号や渋滞で停止回数が増えれば、燃費が悪くなると。正しくは停止回数が増えれば、運動エネルギーを与える(つまり発信時に消費する)燃料が増えるのです。

鉄道には適正速度があります

鉄道では速さの二乗に比例して増加するエネルギーのほうが、距離に比例して増加するエネルギーより格段大きくなる可能性がある。この性質は、鉄道を有効に利用するためには、適正速度を考える必要があることを示します。

適正速度は簡単です。駅間距離が500m程度としましょう。街中ではこのくらいがバス停間としても普通でしょう。このとき適正速度は時速20km程度になります。ヨーロッパで当たり前の空間であるトランジットモールでは、LRTはこの程度の速さで走っています。この程度の速さは、人にとって怖くなく、人と電車は共存し、トランジットモールでは信号もありません。

駅間距離が4倍の2km程度になれば、時速40kmが適正速度になります。また駅間距離が5kmを超えるようになれば、時速を70kmくらいにしてもいいのです。新幹線の駅間距離は数十km、あるいは数百km以上になりますから、時速200km~300kmで走行しても鉄道のエネルギー消費が自動車より格段にいいという性質を保っています。そのため新幹線がこれだけ走っても、電気は運輸部門のエネルギー消費の2%に収まっているのです。

ヨーロッパのLRTは適正速度を上手に取り入れている

ヨーロッパのLRTは未来型の乗り物です。LRTは富山にも導入され、また宇都宮でも2022年から運用が開始されます。しかしヨーロッパのLRTの形には、まだ到達していません。

第一にトランジットモールが導入されていません、さらにLRTが信号に従わなければならないことです。ヨーロッパではLRTが走る都市では、トランジットモールが作られ、人々の生活が豊かになっています。自動車を排除するだけで、こんなに町が快適になるのかと、トランジットモールをゆったりと訪れたら皆さん感じられるでしょう。ぜひ日本でもトランジットモールを実現し、未来社会へ足を一歩踏み入れようではないですか。

トランジットモールでは自動車は排除されますが、自動車とLRTが共存する道路もあります。その配合をどのようにするかは、その都市で住民や自治体が考えることです。そこでは当然信号が必要になります。しかし信号はLRTの進行に合わせて点滅するのです。LRTは信号に停止を命ぜられることはありません。LRTが自動車の流れを、信号を自己の動きに合わせることでコントロールするのです。自動車の邪魔だと一時期排除された路面電車が、自動車の流れをコントロールする。そのほうが交通の流れをスムースにできることは、ヨーロッパの多くの都市の実証実験で、示されているのです。

LRTが導入された町、あるいは導入されようとする町、導入したいと考えている住民が多くいる町と、日本でもLRT社会に向けて動き始めました。とてもいいことです。でもLRTの真の価値を発揮させるには、上記のような点を頭に入れてほしいものです。そのことによって、持続社会到来に大きく貢献するのですから。
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